企業が慎重になるネット炎上
数年前からネットで炎上というのはありましたが、昨今の炎上とはこれまでのものとはちょいと異なっているというお話。SNSが爆発的に普及したというのが、その理由なのでしょう。
これまでの炎上は、さもありなん。叩かれてもしょうがないというもの。例えばアイス冷凍庫に入ってみたり、牛丼を特盛にしてみたりと世に言うバイトテロ的な明らかにペケというもの。
一方、昨今の炎上は、良い悪いが判別しにくく、双方の意見とも正しいというもの。例えばファミリーマートのお母さん食堂。家事は女性がするものという古くからの固定観念を押し付けているという声もあれば、その言葉事態に、そのような差別的な意味合いは含まれていない。考えすぎだという声もあります。
これがSNSで、双方が激しくバトルすることで、瞬く間に火の手が上がり、しかも鎮火するまでに時間がかかるというのだからたちが悪い。
炎上プロセスを見える化するとこんな感じ
大騒ぎになるまでのプロセスを振り返ると、だいたいこんな感じ。
SNSである一人が書き込み→リツィートなどでこの情報が拡散→Togetterなどのまとめサイトで取り上げ着火→ネットニュースで炎上→マスメディアで取り上げ大炎上
といった具合です。この過程でポイントとなるのがリツィートによる拡散部分。ここに大きなうちわを持った通称、炎上屋さんに目に留まってしまったらアウト。
例えばファミリーマートのお母さん食堂では、最初の投稿に対して激しく同調。ここまでは言うのですが、それを言葉にして、「女性の社会進出を妨げる企業姿勢に怒りしか湧きません」とコメント付きでリツィート。このツィートに対し、意を唱える人がまたまた投稿することで雪だるま式にツィートが増えて、着火してしまうわけです。
少数意見が大多数の声にすり替わる恐怖
そもそも炎上するネタというのは、ごくわずかな人の声と言われています。ある調査で2万人を対象に炎上ネタに投稿した経験があるかどうか聞いた所、あると回答した人は200人。全体の0.5%とごくわずかでした。
2015年に東京五輪のシンボルマークで盗作騒ぎになった事件も、最初は10名ほどだったそうです。それが最終的には日本全体を騒がす大事件に発展し、しかもシンボルマークがボツになるという大事態に発展しました。
この時も盗作だ、盗作じゃないよで激しい論争が起きたのでしょう。でなければ、あそこまで大きな事態に発展することはないでしょう。
小さい声が大きな力を得ることも
振り返れば、中東ではSNSが長く続いた政権が崩壊するなど、SNSの凄まじい力を見せつけられました。
最初こそ小さな小さな声でも、SNSというブーストを得たことでとんでもない巨大な力に変容していくと。
良い方向に転べば越したことはないですが、悪い方向に転ぶと会社の経営にも響いてきますし、企業も広報・宣伝活動をこれまで以上に慎重にならざるを得ないでしょう。
凡庸な広告だけが蔓延することだけは避けたいと切に願うばかりです。