つくりすぎだよ中国
鉄鋼の作りすぎで価格がダダ滑りの中国。日本のメーカーもその煽りを受けて生産調整をしている状況。
世界的に鉄鋼の在庫がだぶついているので、これを解消しない限り、適正価格への復帰は遠い先の話。
2015年頃から、この問題が顕在化し、恐らく2-3年はかかるだろうと予想していました。
えっ生産量増
ところがどっこい。在庫調整が予想よりも早くケリがついたのか、2016年1月-6月実績では、鉱工業生産が対前年比で6.0%増と増加に転じました。
4-6月期の中国のGDPが横ばいという中で、今回の増加は目を見張るものがありますね。
これで日本も含めて鉄鋼業界にとっては明るい兆しとも言えます。
実態は悲惨な状況
今回の鉱工業生産増も、その影では淘汰された会社があっての話。
光ある所に影ありといった感じです。
遼寧省参加の国有企業東北特殊鋼が債務不履行となりました。
期日までに借りたお金を返せなかった。
といった具合に体力のない企業は精算される運命にあります。
が、この事件が中国鉄鋼業界では大きな話題になっています。
というのも地方政府傘下の企業が債務不履行を引き起こすというのが初めてだから。
何はともあれ、国からの多少なりとも補助があるので、国有系は大丈夫だろうとタカをくくっていたのですが・・・
地方政府も背に腹は変えられない
中央政府からは、生産の引き締め指示していますが、地方政府にとっては鉄鋼メーカーが倒産するともなると、失業者が大量に発生してしまう。
なので、今まではノラリクラリと中央の命令を交わしていたのですが、それももう通用しなくなったのでしょう。
地方政府自体の財政が厳しという懐事情もあるかと思います。
その政策って助長させているようなもの
引き締めとは言っても、締め上げすぎるのも停滞するだけ。ので、中央政府より景気対策という名の公共事業を発動。
これが鉄鋼業界の今回景気回復に影響しています。
けど、これを続けていくと、せっかく企業淘汰が進み、鉄鋼の需給が調整されていたのに、また供給過多になってしまうのかが心配です。
日本でも似たような話が・・・
この延命策ともとれる景気対策ですが、日本にも似たような事がありました。
中小企業の資金繰りを助けるとの名目で、借金の返済時期を伸ばすような施策が。
竹中さんが猛批判したあの政策。国の借金を膨らますだけだとバッサリと避難していたことを覚えています。
ある意味、痛みを伴わないと膨張した経済は収拾がつかない。
企業が泣く泣く在庫を処分するような所と似ている気がしてなりませんでした。