再生請負人というイメージ
星野リゾートと聞くと、傾きかけた旅館やホテルを瞬く間に立て直してきたイメージがあります。
実際に、700室を超える巨大リゾート、トマムを立て直したことで、一気にその名は知られるようになり、ウチもウチもと手を挙げる会社が跡を絶たないませんでした。
そもそもは軽井沢の旅館屋さん
運営に目が行きがちですが、軽井沢には祖父の時代から続く温泉旅館も所有しています。
では、なぜ運営に特化したビジネスに移行したのか。
今から30年前、当時の海外のホテル業は所有と運営を分離していることが増えていました。
所有と運営を分離
海外では、米マリオットや米ヒルトン、ハイアットがいち早く分離に移行。
この仕組、空港にも似たような仕組みがあります。
確か関西空港は、所有が国で、運営は民間に任せるというもの。
これを海外のホテルではおおよそ30年前から導入していたというのですから驚きです。
所有と運営が全くの別会社となると、所有に伴う金利負担が軽減され、設備投資する場合の投資リスクも軽減されるというメリットがあります。
一方のデメリットとしては、いつ契約を切られるかというリスクがどうしでも伴います。
自社で運営もしますよ
例えば、運営を星野リゾートにまかせていたリゾナーレ西表島では、所有するユニマットグループが再び自分たちで運営も行うということもあったり、所有するオーナーが投資家の場合は、一斉に投資を引き上げたりと、所有者に振り回されことがしばしば。
星野リゾートとしては長期的な視点で運営を育成というビジョンを持っているのに、道半ばにして閉ざされてしまうということが起きていました。
ならば所有もやったるで
所有と運営は一見、良いとこ取りにも見えますが、このような課題が浮き彫りとなりました。
これに対して、星野リゾートは、投資法人を設立して対応することにしました。
不動産信託(リート)で、投資家から資金を集めて所有物件に対し、投資するというもの。
星のや軽井沢をはじめ、6施設をまずリート投資に移しました。
資産規模は約5年で設立当時に比べ約10倍に増え、所有面でも成功を収めていると言っても良いでしょう。
所有と運営の分離
従来は、所有と運営は一体と考えられていましたが、分離することでお互いにうまみを得ることができるのでは
百貨店もまさに不動産化していますし、先に挙げた空港経営もしかり。
色々と課題はあるものの、この先の経営のあり方を学んだ感じがしました。