構成があまりにも斬新すぎる
2019年に大ヒットした本作品。低予算ながら口コミきっかけで上映映画館が増えに増え話題になりました。
冒頭の30分はちょっと退屈しましたが、後半にかけては畳み掛けるような仕掛けの連続でヒットした理由がわかりました。
後半戦は前半のメイキングビデオという構成。前半の作品部分の伏線を後半に全て回収というつくり。
裏ではこんなエピソードがあったとは
監督って中間管理職?
本作品の主人公は、とある弱小映像制作会社の社長さん。安い、早い、質そこそこが会社のウリ。再現VTRやカラオケの映像などの制作が中心。
テレビ局のプロデューサーには頭が上がらず、言われたことをただただこなすというもの。こだわりなんぞ出そうものなら切られてしまうという危うい立場。
そんな状況の中、生放送のゾンビ作品ドラマの制作話を引き受けたものの、出演俳優は曲者揃い。
とにかく監督からの意向を全く聞かないし、役者魂全開で台本にケチをつけたり、酒癖が悪くて本番でも酔っ払ったり、汚れ演技を嫌う女優さんなどなど。
プロデューサーからの圧力が凄いのに現場は全く言うことを聞いてくれない。まるで中間管理職の悲哀さを感じましたよ。
スタッフさんの仕事っぷりに圧巻
テレビドラマも映画もたくさんのスタッフの手によって作られているのは知っていましたが、その仕事っぷりまでは知りませんでした。
本作品では1カット。カット割りはなく1台のカメラで撮影するというかなりハードルの高いもの。
カメラを振り向かせた時に周りのスタッフが写り込まないように立ち回るのさえ難しいのに、見事作品として成立させています。
入念なカメラ導線も決めて取り組んでいる様子に関心させられました。
他にも照明、メイクさん、小道具屋さんなどなど状況、状況に応じて仕事をこなす。ゾンビの人形を用意したり、血のりのメイクを施したり、演者の誘導したり・・・。
彼ら制作スタッフの支えがなければ到底作品としては成立しなかったでしょう。
世はYouTuberばかりに注目されていますが、あらためてテレビマンの仕事っぷりも注目されてもいいのでは。
逆にこの裏方の仕事っぷりを見せるだけでも十分楽しめます。
文化祭的ノリに涙
カメラを止めるなの大ヒットの理由を自分なりに探してみましたが、個人的には学生時代の文化祭的なノリが心打ったのかなと。
集団で何かの仕事に打ち込み成功させていく。一人ひとりの持ち場をきっちりこなすことで大きな成果を得られ、最後に皆で感動を分かち合う。
最後のスタッフ総出でピラミッドをつくったシーンはまさにそれ。
自分もスタッフの一員になったような錯覚をおこし、ちょっぴりウルッと来てしまいました。
コロナ禍で、なかなか多人数による仕事が全くなったことも影響しているかもしれません。
このフォーマットでシリーズ2をぜひとも見てみたい。