ついにイエルサレム陥落

十字軍物語書籍レビュー

来る時が来たという感じ。

イエルサレム解放後、歴代の王様を悩ませていたのが圧倒的な兵力不足。

彼の地に留まることなく、目的達成とあらば本国に帰ってしまう輩ばかりで国を持続させていくという意識が希薄だったのでしょう。

とは言え、限られた兵数でもイエルサレムを守ることは十字軍国家としての宿命だったのでしょう。

イエルサレム解放から200年近く国家を存続させてきたのは、ある意味奇跡と言ってもいいでしょう。

敵対するばかりではなく、友好関係を結び休戦状態にするなど戦ばかりではなく、外交面でも奮闘してきましたが、万策尽きたと言ってもいいでしょう。

戦巧者のサラディン

イスラム側からすれば、イエルサレム奪還は宿願でもありました。

歴史的英雄のサラディンが、スンニ派、シーア派をまとめ上げ、喧嘩ばかりしていたイスラムを統一させたのは歴史に名を残す大事業だと思います。

ここで満足しないのが英雄サラディン。次なる野望はイエルサレム奪還とあいなったわけです。

これまで戦の経験から、城攻めが不得手なイスラム軍を見抜いていたサラディン。

そこで考えたのが、平場にキリスト勢を引き出して、そこで一気にたたくというもの。

まぁ、この誘いに見事にはまってしまい、キリスト勢は見事に大敗を喫してしまうですが・・・。

無血開城は双方にとって良いこと

平場での戦いで大敗した十字軍国家。イエルサレム内の兵士の数は少なく、まさに風前の灯火状態。

イスラム勢に攻め込まれたらひとたまりもない。そこである諸侯が、無血開城を条件に城を解放することをサラディンに伝えます。

これを潔く受け入れたサラディン。こうして数万人にも及ぶ市民の命は助かり、とは言え、莫大な身代金を用意したのですが・・・。

とにもかくにもこの無血開城を選択したのは、素晴らしいことだとおもいますね。

イエルサレム奪取後も、手を緩めず

イエルサレムを奪還したサラディンは、先を見通す力も優れていたのか、奪還後、数ヶ月の内に周辺の海港都市を攻め落とします。

これは欧州からの援軍が上陸できないようにするためだったんですね。

というわけで、援軍部隊は厳しい陸路を通ることとなり、イエルサレム到着までにかなりの時間を要するわけです。

獅子王リチャード出撃

このイエルサレム陥落は、欧州に大きな衝撃を与えることとなり、イエルサレム奪還を目的に第三次十字軍遠征が発動されました。

第一次、第二次は教会の人間が発起人となっていましたが、第三次はこれまでとは異なり、王様達が自発的に、教会の働きかけなく動いています。

で、あのイギリスの獅子王リチャード王、神聖ローマ帝国の赤ひげも出陣するなど、これまでの遠征とは比べものにならないくらいの規模での遠征となったわけです。

第三次十字軍の行方をどうなったのか。今から楽しみでなりません。

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