EV1本は現実的じゃないよ。全方位こそ色々な面で最適解だよ
脱炭素の切り札として世界的にEVへの注目が集まる中、そこに待ったをかけたのが豊田社長。
EVにしたとて、まず現状の再生エネの普及や充電インフラの未熟さを考えると、そう簡単にEV推しにならない。最大の理由は自動車産業で働く雇用を守るということ。
これまでの内燃機関を基本としたクルマから全てEV化ともなれば、雇用を失ってしまう中小企業が山のように出てしまいます。
それを懸念してか、脱炭素を実現するのは、EVだけではない、FCVやPHV、水素エンジンもあるよと。ので、全方位で脱炭素に取り込もうというのが豊田社長の考え。
雇用を守る。政府も動き出す
至極まっとうな意見でもあり、これには政府も激しく同意。11月に閣議決定された経済対策では内燃機関を生かした水素とCo2を合成したe-fuelの開発に政府が支援すると発表しました。
ある意味、豊田社長の発言に理解を示した格好となった訳で、トヨタの全方位戦略も優位に進められます。
所変わってアメリカの脱炭素はどーよ。
中国、欧州で普及の進むEV。当然各国とも脱炭素という大枠の中でEV化を積極的に進めていますが、アメリカはこれまでEVに対しては消極的でした。
パリ協定から離脱しちゃったトランプさんの考え、そのような姿勢したとは思いますが、バイデンさんに変わり、一気に方針が転換され、環境問題に積極的に取り組む姿勢を打ち出しました。
2030年に新車販売の50%をEVを含む電動自動車にすると発表。加えて2035年には政府の車両を全てゼロ・エミッション車にすると発表。
ここに来て、アメリカもEV化に向けて力を入れ始めてきました。
真打ち登場。トヨタのEV化発表
政府による内燃機関に対する理解、そしてお得意先アメリカのEV化加速などを受け、トヨタもようやくと言ってもいいでしょう、EV化に本腰を入れることを発表しました。
発表翌日には株価が上昇するなど、全世界で今か今かと待ちどおしく感じていたのでしょう。
とは言え、全方位という看板は降ろさず、継続してFCV、水素エンジン、e-fuelの開発は進めていくようで、メリハリをつけた開発費でやりくりしていくのでしょう。
冷静な目を持つvwの動向
中国市場ではEVカーバカ売れ、本国でもEVカー販売が好調なVW。一気にEVカーというイケイケドンドンな感じがしますが、さにあらず。
COP26では、世界全体で40年までに全新車をZEVにするという宣言には署名を見送りました。
フォード、ダイムラーは署名しましたが、トヨタも見送っており、今の現状を熟考しての判断だと思います。
EV販売でかなり先を行くVWが、この判断を下すということは、全世界でEV化を推し進めるのはかなりハードルが髙いものなんだなと実感しました。