奴隷売買が合法という時代
スティーブン・スピルバーグ監督による本作品。興業面は芳しくなかったものの、後に高い評価を得たと言われています。
題材は、黒人が合法的に奴隷として売買されていた時代に、ある船の所有権をめぐって、黒人が自由を勝ち取るというもの。
過去に黒人差別の作品は見てきましたが、今までのものとは比べものにならない位、非人道的な事が行われています。
当時の奴隷制度が凄い
どのような形で黒人が奴隷として売買されていたのか、その様子が細かく描かれています。まずは驚いたのが、ブローカーの手先となって働く黒人。後ろから大きな網をかけて、複数人でボコボコにして腕を縛り上げて、ブローカーに引き渡されます。
その後、奴隷砦なる場所に集められ、そこから欧州各国へと輸出されていきます。
ただ当時、イギリスでは奴隷売買を禁止している国もありました。海上での取締も厳しく、捕まるようにでもなれば厳しい罰則を受けなる羽目になる。
取締の目をくぐり抜けるために彼らの取った行動は黒人を海に捨てるという行為。それも鎖で数珠つなぎにして行きたまま沈めるというもの。
こうして奴隷の数を減らすことで厳しい目を逃れていた訳です。
外交問題のも発展
そのような時代背景の中で起きたアミスタッド号事件。争点は、黒人奴隷の所有物は誰か?というもの。ウチのモノだと主張するスペインと、いやいや、そもそも黒人は人であってモノではない。人権というものがあるんだよと。よって、アメリカの法のものとこの裁判は裁かれるべきだよと。
この時代から、司法が強いというのはさすが訴訟の国、アメリカと言えるでしょう。
とは言うものの、アメリカでもまだ黒人奴隷は当たり前という時代。ちょうど南北戦争前ですね。
奴隷解放と叫べば、恐喝嫌がらせの時代です。にも関わらず敢然と黒人の人権を主張した若き弁護士の主人公。
この裁判、最高裁までもつれるものの、最後は大統領まで登場し、見事、黒人の人権獲得を手にすることができたのです。
このイチ地方裁判沙汰の話が国を大きく動かす事件にも発展したとも言われています。
自由となったアフリカ人
自由を手にし、無事祖国に帰ることができた彼ら。
が、待っていたのは悲惨な結末。母国は内戦状態で、家族にも会えずじまいであったとか。
まだ欧州の植民地政策が強く、国よっては奴隷売買が合法的に行われていた時代。
欧州側につく地元とさ対抗する地元で対立が激化したのでしょう。