香乱記|項羽と劉邦、そして田横

香乱記書籍レビュー

項羽と劉邦ばかりじゃないよ、秦滅亡期

暴君の始皇帝がなくなり15年という短い期間で滅亡した秦国。

その後の中国統一に向けて項羽と劉邦が激しい戦いを繰りげ、劉邦が目立たく天下統一を果たす訳ですが、その2人に負けずとも劣らない英傑がいたました。その名も田氏三兄弟。田儋、田栄、田横です。

香乱記に描かれている彼らはまさに徳の高い人ばかり。ここまでの人格者なのにどうして天下を取れなかったのが不思議でなりません。

劉邦がそれほど強運だったのでしょう。

きっかけは陳勝・呉広の乱

秦の圧政に苦しみ、各地で武装蜂が起きました。

最初に立ち上がったのが、世界史の教科書にも出てくる陳勝呉広。今で言う土木作業員です。お国からの命令である現場に建築用資材を運ぶという作業を任されていましたが、指定期日までに間に合いそうにない。

遅れて着いても罰せられるし、ならば武装蜂起しちまえと。

この行き当たりばったりの反乱が各地から不満分子を吸い寄せ、あれよあれよと反乱兵が膨れ上がり、大成功。

が、烏合の衆だけに数は多いけど、戦略、戦術もないものだから組織化された秦にこんてんぱんに粉砕されてしまいます。

次の主役は項梁

その後、陳勝・呉広の意思を継いだのが項梁。項羽の叔父にあたります。秦の名将、章邯に押されっぱなしの反乱軍でしたが、項梁を迎え入れたことで続々と反乱軍の基に人が集まるようになり、顔に刺青の入った黥布もこの時に項梁の元に馳せ参じました。

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また同時期に魏や趙、斉をはじめ各地で軍が立ち上がり、章邯が1つずつ潰しにかかります。

魏を城攻めで一気に潰し、ついで斉。ここで田氏三兄弟と項梁が手を結び、章邯軍の撃破に成功。

が、ただでは転ばぬ名将章邯。一度退却して力を温存した後、項梁に奇襲をかけ死に追いやることに成功。

その後、章邯は趙を攻めるべく北上します。深追いしないとうのがかしこいですね。

項羽がキレキレ

章邯に攻めこまれ風前の灯火の趙国。が、そこに駆けつけたのが鬼軍曹の項羽でした。

兵数に勝る秦国をものともせず趙国を助けるとともに、秦軍を粉砕。敗残兵も吸収し、兵力も充実。項羽のターニングポイントとも言える戦でした。

その後は劉邦が咸陽を攻め落とし、この2人を中心に中国統一に向けた時計が回り出します。

田氏三兄弟はどうなの?

田儋は魏との共同戦線で章邯と対峙した際に命を落とし、田栄はあの項羽に殺され、最後まで行き残ったのが田横でした。

彼が生き残った頃には、中国全土は劉邦がやや優勢といった感じ。なので項羽も盛んに斉との同盟を結びたがります。

最初は拒否していた斉も、劉邦軍に攻め込まれるにいたり、項羽と手を結ぶことにしたのです。

結局、劉邦軍の猛攻に耐え切れず田横は城を失うことになるのですが・・。

天下統一後も徹底交戦

項羽が亡くなり、漢王朝が樹立されてもなお抵抗を続ける田横に対し、劉邦は命の保証をするから顔出しなさいと依頼。

家族、親類が助かるならばと都に登る途中で自らの命を絶ち、部下に首を劉邦に捧げたようです。

その後、部下も殉死し、劉邦は何てとく得難い人を失ったことかと嘆きました。

劉邦

まさに一本筋の通った生き様に感動しまくりでした。

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