中国歴史にその名を残す名君「重耳」を読み終えて思うこと

重耳書籍レビュー

古代中国の歴史を振り返る

宮城谷昌光先生の中国歴史小説にはまってから早10年。楽毅、孟嘗君
、呂不韋、太公望、管仲
などなど。これを時系列に読むとまぁ、春秋戦国時代の中国歴史を知るのにもってこい。

各国の力関係が時代ともに変遷していくのは読み応えがあります。

今回紹介する重耳は、古代中国歴史の春秋戦国時代の春秋の時代のもので、キングダムで描かれる戦国時代よりも一昔前の時代を描いています。

当時はまだ周王朝が力を持っていた時代。日本で言えば朝廷ですかね。各地域の諸侯は周王朝について忠誠を誓っていましたが、朝廷の力が弱まると、錯覚を起こす諸侯が出現。それが楚と斉ですね。楚は周王がいるのに王を名乗ったり、斉の桓公は諸侯の盟主となり、会合をしきったり。

が、重耳の晋は、勤王の姿勢を崩さず忠誠を誓い続けます。

重耳

三世代にわたっての遠大な話だよ

作品タイトルは重耳ですが、前半は彼のおじいちゃにあたるが主役。

本家と分家に分かれていた国を一つにまとめるという功績を果たし、息子の詭諸に政権を引渡します。

ところ妻の驪姫が政治にも口を出すような傍若無人っぷりで、旦那の詭諸も諌めるどころか、それに乗っかる始末。このバカ夫婦により様々な災難が引き起こり、中でも息子重耳が一番の被害者と言ってもいいでしょう。

自分の息子を次期君主にの悲願達成

お家騒動は今も昔も変わらず、元前600年頃にも健在。詭諸亡き後、驪姫は詭諸との間にもうけた子供を嫡子にしようと画策。

既に、次期君主は長男の申生に決定したいたものをひっくり返し、我が息子を次期君主にすることに成功。

申生は自殺に追い込まれ、重耳、夷吾は身の危険を感じて国外に逃亡。ここから重耳の長きに当たる流浪の生活がは始まりました。

混乱は続くよ重耳が帰るまで

ただし驪姫の時代は、そう長くは続かず詭諸亡き後、息子と一緒に暗殺され、再び晋は混迷を極めます。

国外に追放された重耳、夷吾に戻ってきて欲しいという声が高まるものの、重耳は混乱の中で君主に就くのは得策ではないと辞退。

代わりに三男坊の夷吾が晋の君主に就任しました。

約20年ぶりに重耳帰還

その後も、食べ物にも困るような流浪生活を続ける重耳でしたが、斉に辿りついた時には桓公から賓客待遇で扱われ、安定した生活を取り戻し、流浪生活も終焉を迎えることになりました。このまま斉に骨を埋めても良いかなと。

ところが付き従っていた家臣がこれには猛反対。晋の君主になる資格を持ちながら、斉の賓客として満足するなんて情けないと。これに目の覚めるような思いをした重耳は再び苦難続きの流浪生活に戻ることになり、後に秦の君主の手引で、夷吾の息子を追い出し、約20年ぶりに晋に帰還するこに成功し、晴れて晋の君主に就くことができたのです。

重耳

苦労人だよ、重耳は

重耳のこの長い長い旅は負の側面だけでなく、中国全土にその人格者として彼を知らしめたと言ってもいいでしょう。

斉や楚の君主からも一目置かれ、その後、斉に代わり中華の盟主に晋がなったのは、この流浪の旅も少なからず影響していたと思いますね。

他の宮城作品に比べ戦に関する話は少ないですが、最後まで楽しく読めました。

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